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毎年 タブラのために インドをおとずれているユザーン
そして 日本国内のライブでも やっぱりカレーをふるまわれることが 多いのです
ユザーンのカレー指数は 半端ない!
これはもう タブラ奏者の宿命です
そんな ユザーンカレーデータを 放っておくのはもったいない!
というわけで そんな 数々のカレーを食してきた ユザーンがオススメする
あえて食べたいカレーを ゲストミュージシャンと巡る会 が発足しました
カレーは 1人より みんなで食べる方が いろいろ食べれて たのしいもんね!
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6番目の会員は エレクトロニック・ミュージック界の鬼才
Ametsubくんです
最近 ユザーンがもっともよく 足を運ぶという
錦糸町の ディープなお店
アジアカレーハウスに いってきました
U-zhaan(以下 U):今日行こうとしてる店にさっき電話してみたんだけど、なぜか電話がつながらないんだよね。
Ametsub(以下 A):え、まさか休みとか。予約とかはしてないんですか?
U:いや、以前その店に電話予約をしたことがあってさ。「はい、わかりましたー。9時に4人ね」とか爽やかに返事してくれたんだけど行ってみたら全席きれいに埋まってて、「そのうち空くから待っててね」と言われた。それ以来、この店に関しては予約をしても意味がないなと思って。
A:適当な感じなんですね。どこの国の人?
U:バングラデシュ人。やってるといいんだけど。
道を歩く外国人:あそこのカレー屋さんの話?
U:え? あ、はい。
道を歩く外国人:今日はやってたよ。あそこおいしいよね~。
U:そうですか。よかった。
A:今の人、ユザーンさんの知り合いですか?
U:いや全然知らないよ。なんで急にカットインしてきたんだろう。
あ、でも本当にやってる。
A:よかったー。
店員:いらっしゃい。ちょっとお待ちください。
U:さっきここに何度も電話したけど、つながりませんでしたよ。
店員:え、本当に? なぜだ?
U:こっちが聞きたいですよ(笑)。
A:だいぶせまいお店ですね。5席くらい?
U:うん。頑張れば7人まで入れるらしいんだけど、6人目以降は厨房の中で
食べさせられるんだよね。ちょっと外で待ってようか。
A:めちゃくちゃ腹減ったな。なんかこの辺、
かなりディープな感じのエリアですね。
U:歓楽街のど真ん中だからね。営業時間も20:00~4:00っていう。
A:4時って朝の? すごいな。あ、もう店に入れそう。回転が早い。
U:入ろう入ろう。俺もお腹すいた。今日はどんな料理があるんですか?
店長:カブのバジ(炒め物)とダル(レンズ豆のスープ)と、魚のカレーと……。
U:何の魚?
店長:ショルプティっていう、バングラデシュの川魚。あとムルギル・ジャール・フライ。
U:だってさ。
A:最後のは何ですか。
U:鶏肉のカレーみたいなやつだね。
A:じゃあ僕はそれにしようかな。
U:いや、今言ってたのが全部出てくるんだよ。
A:そうなんだ!
U:メニューがなくて、椅子に座ると自動的に日替わりメニューが出てくるスタイルなの。
A:へー。このお店はどうやって見つけたんですか。
U:ホフディランってバンド知ってる?
A:もちろん知ってますよ。
U:ホフディランの小宮山雄飛さんがかなりのカレーマニアで。「ユザーン、錦糸町にすごいカレー屋があるんだよ」って教えてくれたの。来てみたら本当においしくて。
Ametsubくんはカレー好き?
A:うーん、普通。
U:普通か(笑)。ほら、もうごはんが盛られ始めたよ。カレーを手で食べたことある?
A:ないです。
U:今日は手で食べてみようよ。手のほうが魚の骨も取りやすいし。
A:右手しか使っちゃいけないんだっけ。左手はどういうときに使うんですか?
U:何用ってことはないんだけど、なぜか不浄な手とされてるんだよね。
インドでは握手とかも左手でするのは嫌がられる。
A:このごはん、日本のお米じゃないのかな。
U:今日は日本米とパキスタンの米を混ぜて炊いてるんだってさ。
A:そうなんだ。魚カレーも来ましたね。
U:店の人が「お前には特別に頭のところをやるよ。うまいぞ」って
言ってるんだけど、胴体のほうが食べるところが多そうだな……。
お、チキンも出てきたよ。肉がデカい!
A:これはめちゃめちゃおいしそうですね。
ごはんの横に盛られてるのはなんだろ。
U:カブの葉っぱと卵をスパイスで炒めた感じの料理だね。
あとで豆のスープもくると思うけど、とりあえず食べ始めよう。
いただきますー!まずはカブとごはんを混ぜて食べるといいよ。
A:いただきます。あ、結構熱い! 熱い熱い!
U:そう?
A:こんなの手で混ぜてよく大丈夫ですね。あ、でもうまいなこれ。
U:でしょ? こんなにおいしいカレー屋は日本中探してもなかなかないよ。
A:この小さい器に入ってるのは唐辛子?
U:そう。青唐辛子をかじって、口の中で辛さを調整するの。
ここは本当に現地の味そのまんまなんだよね。カルカッタで、小さな大衆食堂に入ったような気分になる。
A:こういうのを食べて生活してるんだ。魚のカレー、って向こうではよくあるんですか。
U:ベンガル地方では定番の料理だね。魚カレーを食べるのは初めて?
A:初めてです。
U:小骨が多いから気を付けて。ダルもチキンもうまいなー。Ametsubくんもおいしいと思ってる?
A:思ってますよ。なんでですか。
U:本格的すぎるぐらい本格的なインド料理だから、大丈夫かなと。
店長:これはインドじゃなくてバングラデシュの料理だよ。
U:あ、そうだよね。ごめんなさい。
A:さっきからユザーンさん達が話してる言葉は何語?
U:ベンガル語。東インドのベンガル地方と、バングラデシュは言葉が一緒なんだよね。Ametsubくんは英語とか得意?
A:日常会話程度はできるんですけど、専門的な話になるとさっぱりわかんないですね。Ovalってわかります?
U:うん、このあいだAmetsubくんと一緒にライブしてたよね。
A:そうそう。即興ライブだったんだけど、大まかなストーリーは決めておこうという話になって多少の打ち合わせをしたんですよ。でも本番5分前くらいになって、うまく意思疎通できてなかった部分があるのが判明して。
U:うん。
A:そしたら、Ovalが途端に険しい表情になって。直接怒られはしなかったけど、通訳の人とかに厳しい口調で何かを言ってた。でも、細かい音楽の話ってやっぱり難しいんですよ。日常会話では使われないような単語もいっぱい出てくるし。
U:そうだろうね。
A:久々に血の気が引きました。でも、ライブが終わったら「素晴らしかった。お前は音楽がよくわかっている。やはり音楽に言葉はいらない」って言ってくれたんですけど。
U:ほんの少し前まで言葉の壁が大きく立ちはだかってたはずなのにね(笑)。
店主:おかわりはどう?
U:じゃあカブを炒めたやつとライスをもらおうかな。Ametsubくんもなにか欲しいのあったら言うといいよ、おかわり自由だから。あれ、手で食べるのが初めてのわりには意外とうまく口に運んでるね。
A:そうですかね。指先べちゃべちゃですよ。
U:カレーは手で食べたほうがおいしい、とかよく言うけど違いは感じる?
A:いや、あんまり。
U:そうですか。
A:僕、食事に対して全然こだわりがなくて。コンビニで売ってるツナマヨのおにぎりとかで満足しちゃうんですよ。
U:へー。俺はおいしくないものを食べると一食分損をしたような気分になるよ。Ametsubくんはよくライブでヨーロッパとかに行ってるけど、海外で印象に残った料理はある? これがすごくおいしかった、みたいな。
A:ないですね。
U:ないんだ。
A:このあいだアイスランドに一ヶ月ぐらい行ってたんですけど、日本から缶詰とか魚肉ソーセージとかを大量に持って行って、そればっかり食べてました。向こうのごはんを食べたのは一回くらい。
U:マジで? 俺だったら絶対そんなの耐えられないよ。
A:北欧は物価が高いから、なるべく節約しようと思って。食事なんて何でも大丈夫だし。
U:それはそれでちょっとかっこいいな。いつでも次のごはんのことばっかり考えてる自分がなんだか恥ずかしくなるね。
隣に座っている女性客(以下 女性):これ、何の撮影をしてるんですか?
U:あ、取材で。カレーを食べる、っていうだけの企画なんですけど。
女性:雑誌?
U:ウェブサイトです。
女性:どんな言葉で検索をかければ出てきますか? 今日から毎日チェックしますよ。
U:いや、毎日更新してるわけじゃないんですけどね。
じゃあ後で「ユザーン」って入力してみてください。
女性:お兄さんは有名人ですか?
U:ぜんぜん有名じゃないです。
女性:なんだそっかー。東京に来れば有名人に会えるかと思って鹿児島から
出てきたのに。あ、ユザーンって入れたら普通に出てきた!
U:もう調べたんですか。
女性:この写真、かなり痩せてますよ。
U:すみません、そのころよりだいぶ太ったんです。
女性:一応サインもらっといていいですか?
U:嫌だよ(笑)。
A:さっき歩いてたときも思ったんですけど、ユザーンさんはどうしてそんなに人から話しかけられるんですか。
U:なんでだろうね。Ametsubくんは話しかけられたりしないの?
A:全然。近づきにくい雰囲気があるのかな。
U:そんなことないでしょ。あー、俺もうお腹いっぱいです。ごちそうさま。
お代わりとかしなくて大丈夫?
A:大丈夫です。かなり満腹。
U:よかった。今日食べた中ではどの料理が一番おいしかった?
A:圧倒的にチキンカレーですね。
U:お、即答したね! たしかにあれは肉がジューシーだったし、スパイスも爽やかに効いてて香りがよかった。
A:というか、僕はチキンが好きなだけなんですよ。
U:そうなの?
A:うん。チキンが入っていればどんな料理でも満足します。
U:味付けが気に入った、というわけではないんだ。ここ、猛烈においしいんだけどなー。
A:現地っぽい雰囲気の味で、たぶんおいしかったんだとは思いますけどね。
U:たぶんって(笑)。
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Ametsub
2009年に発売されたアルバム「The Nothings of The North」が世界中の幅広いリスナーから大きな評価を獲得し、坂本龍一氏の選ぶ「2009年のベストディスク」にも選出され一躍脚光を浴びる。スペインのL.E.V. Festivalに招かれ、Apparat/Johann Johannson/Jon Hopkinsらと共演。その他にもMiRA Festival(スペイン)、FLUSSI(イタリア)、STROM(デンマーク)、MIND CAMP(オランダ)、FujiRock Festival’12(日本)など、世界各地の大型フェスに出演している。2012年リリースの最新作「All is Silence」は、新宿タワーレコードでSigur RosやMy Bloody Valentineなどと並び洋楽チャート5位に入り込むなど、大きなセールスを記録した。2013年には山口県の野田神社で、霧のインスタレーションを交えながらの坂本龍一氏との即興セッション、2014年はTychoの新作をリミックス、Plaidと共にLapsusのコンピに参加するなど精力的に活動中。北極圏など、極地への探究に尽きることのない愛情を注ぐバックパッカーでもある。
http://www.drizzlecat.org