毎年 タブラのために インドをおとずれているユザーン
そして 日本国内のライブでも やっぱりカレーをふるまわれることが 多いのです

ユザーンのカレー指数は 半端ない!
これはもう タブラ奏者の宿命です

そんな ユザーンカレーデータを 放っておくのはもったいない!

というわけで そんな 数々のカレーを食してきた ユザーンがオススメする
あえて食べたいカレーを ゲストミュージシャンと巡る会 が発足しました

カレーは 1人より みんなで食べる方が いろいろ食べれて たのしいもんね!

8番目の会員は ハナレグミ 永積 崇くん
アルバム唯一のボーカル曲 「俺の小宇宙」を
熱唱してくれた 崇くんと
経堂にある 革新的な インド料理店
ガラムマサラに 行ってきました

永積 崇(以下N):もうお腹べっこりだよ。空腹過ぎで胃の上がつってるみたいになって、痛みすら感じてきた。 U-zhaan(以下U):早く料理くるといいね。でも、崇くんって元々カレーが苦手だったって言ってなかったっけ。 N:うん。子どものころはほとんど食べなかった。 U:味が嫌だったの? N:なんかね、親父が汗っかきで。 U:父親が汗っかきだとカレーって嫌いになるっけ? N:食事中の席順が家族間で決まってて、俺の席は親父の正面だったんだよ。
だからカレーの日になると、親父が「辛い辛い!」って言いながら
滝のように流れる汗をバスタオルでぬぐいつつ必死にカレーを
口へ運ぶ光景が目の前で繰り広げられてて。なんでこんな思いをして
飯を食わなければいけないのか、ってことが子どもながらに
すごく引っかかったんだよね。
U:変わった子どもだね(笑)。 N:それでカレーを食べる気がなくなっちゃって。 U:崇くんちのカレーは辛口だったの? N:大人用と子ども用のカレーに分かれてたから俺がそのとき食べてたのは
辛くなかったけど、親父のはきっと辛かったと思う。
そう、お袋がよく「辛くなければカレーじゃない」って言ってたんだけどさ。
この辛さを乗り越えなければカレーを食べているとは言えない、みたいな。そういう感覚も当時はなんだかしっくりこなくて。
U:あー、楽しいはずの食事になぜ修行感なんか持ち込むんだ、と。 N:そしていつの間にか永積家でカレーを食べる日には、俺にだけ別のものが用意されるようになってた。
U:家族公認のカレー嫌いになったんだ(笑)。お、マサラパパドが出てきたよ。これは注文してないんだけど、お通しみたいな感じなのかな? 食べてみようか。 N:いただきまーす。……あ、これ「スタートです」っていう雰囲気の味がするね! U:まあ前菜だしね。 N:サクッとしててうまいなー。上に乗ってる玉ねぎもいい。 U:たしかにおいしいね。ビールを飲みたくなる味。 N:マサラパパド、だっけ? U:この薄くてスパイシーなせんべいみたいのをパパドって呼ぶんだけど、パパドの上にこうやって味の付いた玉ねぎとかが乗せてある料理がマサラパパド。でさ、話は戻るけどカレー嫌いはいつ頃まで続いたの? N:かなり長かったよ。まず「辛い」っていう味覚にチャレンジすることがなくなっちゃってたから。普通に生活してると、辛い食べ物なんてカレーぐらいしか出会う機会がないじゃん。 U:たしかにそうかも。
N:だからカレーをやめて以来、辛さに対する耐性が全然できてなかった。辛いものをおいしいと思う感覚が育ってなかったの。
それがある日、キムチっていうものとの出会いがあって。
U:崇くん、韓国料理が好きだもんねー。 N:もう本当にあの味が大好きになっちゃったんだよ。 U:それはいつ頃の話? N:30歳ぐらい。 U:そんなに最近なんだ。 N:そう。その出会いのおかげで辛さに慣れ親しむことができたんで、
もしかしすると今ならカレーもいけるんじゃないかなって気がしてきて。
それからちょっとずつカレーを食べるようになった。
U:久しぶりに食べたカレーの味はどうだった? N:おいしいとは感じたんだけど、正直なところ最初はそんなに率先して食べに行きたくなるような気分にはならなかった。でもある日、また新たな出会いがあって。 U:いろいろ出会うんだね。 N:八王子でネパールカレー屋をやっている人と友達になってさ。試しに行ってみたらめちゃくちゃうまくて。2週に1度くらいのペースでそこへ通ってたら、徐々にカレーに対する心の雪解けが始まった。
U:へー、30過ぎまでカレーに心を閉ざしていた人が通い詰めるほどのカレーって興味があるな。今度食べに行ってみよう。そしていいタイミングでラッシーが来たね。とりあえず乾杯~。 N:あ、このラッシーうま!! どういうこと? U:ほんとだ! 人生で飲んだラッシーの中で一番おいしいかも! N:体に沁み入るようなこの柑橘系の味わいはなんだろう。 U:柚子が入ってるんじゃないかな。控えめな甘さもちょうどいい。 N:インドにも柚子入りラッシーってあるの? U:ないんじゃないかな。まず、インドで柚子を見たことがないね。ここのお店はこの柚子ラッシーのように、独自のアレンジを加えた創作インド料理を出すことでも有名なんだよ。
N:独自アレンジいいねー。お、またなんかうまそうなのが来た! これは何? U:砂肝とパクチーのサラダ。 N:この赤いのはイチゴ? U:ほんとだ、イチゴが入ってる。イチゴ入りのサラダなんて食べたことないな。
どんな味になるんだろう。
N:……めちゃめちゃうまいよ! 半端ない。 U:おー、イチゴの酸味と甘みが絶妙に効いてるね。 店長:そしてこちらは骨付きタンドリー・ラムになります。 N:これも見るからにうまそう! 店長:緑のがピーマンソース、赤いのがトマトソースなのでお好きなほうを
付けて召し上がってください。
U:フレンチみたいな盛りつけ方だな。 N:うわー、うめえ……。ちょっと待って、本当にうまいわ。
なんだか味が重層的だよね。これ、塩とコショウ以外にもきっと何らかの
スパイスみたいのが入ってるよ。
U:そりゃそうでしょ(笑)。 N:このラムはあとでまた確実におかわりしたいぐらいだね。
骨を捨てるのすら惜しい。
U:崇くん、何年か前にバラナシ(インドの都市)に行ってたじゃん。
あそこで食べたインド料理はどうだった?
N:うーん、あんまりおいしくはなかった。味がしないというか、単調な感じで。
肉とかもかなり固かったし。
U:たしかにバラナシの料理ってそれほど評判がよくないね。カルカッタや
チェンナイにはすごくおいしいものがあるんだけど。
N:でもさ、バラナシってヒンドゥー教徒の聖地で、死ぬ間際の人たちがその地で一生を終えるためだけにやってきたりする場所でもあるわけでしょ? U:うん。 N:そういう街で食べ物がまずいってどうなのかな、って思う。最後に幸せな気持ちになれるようなおいしいごはんを出せばいいのに。
U:あんまりうまいものを食べると、逆に生への執着がうまれちゃったりするのかもね。「あれ、やっぱもうちょっといろんなもの食べてみたくね?」って(笑)。あ、またなにか持ってきてくれた。 店長:これはサービスです。せっかくウチに来たんだからこれ食べないと。 U:サバ缶! 崇くん、これがここの名物料理でさ。サバの缶詰をオクラやゴーヤ、それにスパイスで和えてるやつ。衝撃的においしいよ。 N:へー、缶詰を使うんだね。ゴーヤって、インドでも普通に食べられてるものなの? U:カルカッタでは日常的に出てくるね。日本とは違って、種やワタを取らずに調理されてることが多い。 店長:こっちはローストビーフとマトンロールです。 U:いろいろ来たね。正直なところローストビーフなんて注文した記憶がないんだけど、この際気にせず食べよう。 N:うん、ローストビーフすごくおいしい。これはもう、牛を神様のように崇めている人の調理法ではないね。存在を完全に食べ物として捉えてないとこの味は出せない。
U:いや、ここの店長はイスラム教の人だから牛肉は普通に食べるんだよ。 N:そうなんだ(笑)。ところで、湯沢くんの横に置かれてる赤い物体は何? U:辛み油みたいなやつ。カレーの辛さを調整しようと思って頼んだの。 N:すごく辛いのかな。ちょっとだけなめてみよう……。
うわ! これかっらい!!ゲホ! ゲホ!
U:まあ、辛さを足すためのものだからね。 N:ゲッホ! 直になめたりしちゃダメなやつだよこれ。 U:崇くん、今おしぼりで舌を拭いたね(笑)。 店長:次はタンドリー砂肝です。 U:ほら、崇くんの好きな砂肝が来たよ。 N:今食べても口の中が辛すぎて何もわかんないよ! U:なんでそんな実験しちゃったの。 N:まさかこれほどだとは思わなかったから。
目に入ったら失明するレベルの辛さ。
U:急にすごい汗をかき始めたけど大丈夫? セーター脱ぎなよ。 N:大量に汗をかきながらカレーを食べる親父が嫌だった、って話を
さっきした ばっかりなのに。あー辛かった。……うわー、砂肝もうっま!
こんなにフカフカでジューシーな砂肝は食べたことない。
U:これもサバ缶と並ぶ名物料理らしいよ。タンドリー釜で焼いた砂肝なんて初めて食べたけど、だいぶおいしいね。
N:うん。でもあれだね。ここまで出てきたもので、味の中にひとつも疑問がないというか。 U:疑問? どういうことだろう。 N:やっぱりさ、それなりにおいしいレストランに行ったとしても、何品か頼むと「この料理はもうちょっと塩が薄いほうが好みかも」とか「これに少しだけ何かを足したらおいしいんじゃないかな」みたいなのが心の中に出てきたりするじゃない。この店に関しては今のところそういうのが全くなくて、ただただ「インド料理って、こんなにもいろんな味が口の中に広がるんだ」っていう感動がある。 U:それはすごいことだね。さて、ここからやっとカレータイムだよ。 N:一気にカレーが出て来たね! U:レモン・チキンとダル・ミックス(数種類の豆のカレー)、それにデルスカレー(オクラとシーフードのカレー)。ナンやサフランライスと一緒に食べてみよう。
N:じゃあまずはナンと一緒に……。いやーうまいわー。
このシーフードカレーはすごく好きだな。
さっぱりしてるけど風味がよくて。チキンのも、食べたことのない味で
後を引くね。山椒みたいな味わいも感じる。豆のカレーに関しては、
もう何かカレーではない別の料理に進化し始めているような感じ。
U:いろんな豆が入ってて体にもよさそうだしね。
そしてこのガーリック・ナンもさりげなくおいしいな。
N:もう俺、これに関してはガーリックっていうこと
だけで全面的に信用できるもん。
U:崇くんは本当にニンニクが好きだよね。 N:大好き。ニンニクで一番いい瞬間はさ、
ニンニクの皮をたくさん剥いたあと、
おもむろに爪の間の匂いを嗅ぐって
いうあのとき。すごく幸せな気持ちになるよね。
U:今ひとつ賛同しかねるな(笑)。そしてブラック・マトンも
出てきたよ。
N:ブラック・マトン? そのヘビー・メタルのバンド名みたいな
料理は何?
U:黒ゴマとマトンのカレー。ゴマの苦みがけっこう強く出てるな。 N:これも好きだなー。他の料理に比べて、硬派な感じを受ける味だね。
この一皿は黒ゴマの風味だけで勝負するんだ!みたいな。でもさ、やっぱりこうやっていろいろな 味に触れるのっていいよね。
棚の中身が増えたような気分になる。
U:棚?
N:今日はじめて体内に入ってきた香辛料の数々が、心のキッチンに置かれている調味料の棚へ一気に追加された感じ。 U:なるほど、味の記憶の棚みたいなものか。これからもいろんなところで様々なものを食べて、味の記憶を棚いっぱいに並べたいもんだね。ところで、さっきおかわりしたいって言ってた骨付きタンドリー・ラムはどうする? N:いや、もうお腹いっぱいだからいいや(笑)。
ハナレグミ
永積 崇(ex. SUPER BUTTER DOG)によるソロユニット。 2002年に1stシングル『家族の風景』、1stアルバム『音タイム』をリリース。 2005年9月に小金井公園で開催されたワンマン・フリー・ライブ「hana-uta fes.」には 約2万人の観衆が集結した。 2009年には4年半ぶりの4thアルバム『あいのわ』をリリース。 ツアーファイナルである日本武道館公演では、約1万人の観客を圧倒するステージを披露する。 2011年には5thアルバム『オアシス』、2013年には初のカバーアルバム『だれそかれそ』を それぞれリリースした。その深く温かい声と抜群の歌唱力を持って多くのファンから熱い 支持を得ている。
http://www.laughin.co.jp/hanare/

  • ハナレグミにも参加してもらった
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  • ガラムマサラ
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    東京都世田谷区経堂1-22-18 2階